高齢者と交流する介護士の中には、加齢による心の変化や考え方に戸惑う人もいるでしょう。穏やかな人柄だった利用者が急に粗暴になったり、元気で行動的だった利用者が塞ぎ込んでしまったりすることもあります。加齢が進むと、脳の機能も衰えるため、このような変化が起こることは珍しいことではありません。介護士は、加齢による心の変化に対して、動揺することなく冷静に対処することが求められるでしょう。介護職が動揺を見せると、利用者は益々不安になり、感情が高ぶってしまいます。

怒りっぽかった利用者が急に穏やかになる場合は問題ありませんが、その逆のケースの方が多いと言えるかもしれません。加齢とともに怒りっぽくなる高齢者は、少なくないのです。時には、介護士に対して当たり散らすこともあるでしょう。しかし、忘れてはならないのは、こうした怒りは一過性のものであり、明確な根拠がある訳ではないことです。したがって、怒りの理由について質問してはいけません。何事も無かったかのように受け流すことが必要です。相手のトーンに合わせず、庭の花や明日の予定など本人の関心事に話題を逸らすことも、効果があるでしょう。声かけに応じない場合は、少し間をおいてからアプローチすると、相手の気分が変わって落ち着くこともあります。本人の攻撃的な感情を上手く受け流しつつも、放置しない姿勢を保つことが、介護のコツと言えるでしょう。